あかり事務所のブログ

学生納付特例制度③と特別障害者給付金

前回のつづきです。

全国八つの地方裁判所から発した裁判の最終舞台は最高裁へ。
原告らも弁護団も支援者も力を結集しました。

判決は、
①一般的には,20歳に達した後も稼得活動に従事せず,収入がなく,保険料負担能力を有していない。
②20歳以上の者が学生である期間は,多くの場合,数年間と短く,その間の傷病により重い障害の状態にあることとなる一般的な確率は低い上に,多くの者は卒業後は就労し,これに伴い,被用者年金各法等による公的年金の保障を受けることとなっている。
③一方,国民年金の保険料は,老齢年金に重きを置いて,その適正な給付と保険料負担を考慮して設定されており,被保険者が納付した保険料のうち障害年金の給付費用に充てられることとなる部分はわずかであるところ、20歳以上の学生にとって学生のうちから老齢,死亡に備える必要性はそれほど高くはなく,専ら障害による稼得能力の減損の危険に備えるために国民年金の被保険者となることについては,保険料納付の負担に見合う程度の実益が常にあるとまではいい難い。
などとし、
さらに、同じ学生であっても、20歳を境に障害年金の保障が異なってくる点については、
④20歳前障害者は,傷病により障害の状態にあることとなり稼得能力,保険料負担能力が失われ又は著しく低下する前は,20歳未満であったため任意加入も含めおよそ国民年金の被保険者となることのできない地位にあったのに対し,初診日において20歳以上の学生である者は,傷病により障害の状態にあることとなる前に任意加入によって国民年金の被保険者となる機会を付与されていたものである。
⑤これに加えて,障害者基本法,生活保護法等による諸施策が講じられていること等をも勘案すると,傷病により障害の状態にあることとなったが初診日において20歳以上の学生であり国民年金に任意加入していなかったために障害基礎年金等を受給することができない者に対し,無拠出制の年金を支給する旨の規定を設けるなどの所論の措置を講じるかどうかは,立法府の裁量の範囲に属する事柄というべきであって,そのような立法措置を講じなかったことが,著しく合理性を欠くということはできない。
⑥また,無拠出制の年金の受給に関し上記のような20歳以上の学生と20歳前障害者との間に差異が生じるとしても,両者の取扱いの区別が,何ら合理的理由のない不当な差別的取扱いであるということもできない。
⑦そうすると,上記の立法不作為が憲法25条,14条1項に違反するということはできない。
と、大まかに言うとこのような内容でした。

国民年金法が制定された昭和36年頃は、大学に進学する方が少なかったという背景もあり、20歳以上の学生に想像が及ばなかったということは否めず、それをしても上記の理由から不当な差別的取扱いとする合理的理由を打ち消され、残念な結果になりました。

しかし、この運動と裁判が実を結び、
受給要件を満たすことができず、障害の状態にあるのに障害年金を受給できない方を救済する、「特別障害給付金」が制定されました!
すばらしい、です!!

障害年金の額には届かないですが、
障害基礎年金1級相当に該当する方は基本月額54,000円程度、
障害基礎年金2級相当に該当する方は基本月額43,000円程度が支給されます。

この給付金の背景にある歴史の経緯に、支援者として携わった私なので、ぜひ、みなさんにお伝えしたく、書かせていただきました。
長いお話、聞いて下さってありがとうございます。

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